クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
繋がれたら手に、正直すごく驚いたけれど、翼くんの手があんまりにも温かくて。
私は、振りほどいたりせず、大人しく繋がれたまま。
翼くん、きっと、元気ない私のことずっと気を遣ってくれてるんだ。
それで、ストラップまで取ってくれて。
本当は、翼くんが欲しいものを取らなきゃいけないのに。
先程よりも、人の多さが増してきて、翼くんの肩と私の肩の距離がとうとうゼロになって。
「……っ、」
「ゆるちゃん、大丈夫?」
斜め上から優しく心配してくれる翼くんは、やっぱりいつもよりも頼もしくって完全に男の子って感じ。
いつもの可愛い感じももちろんなくなってるわけではないんだけれど。
「うん、平気だよ」
「はぐれないようにね」
「うんっ、ありがとう」
私に気を遣って歩幅を合わせて歩くのも、きっと疲れるはずなのに。