クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


なにが起こってるのかまるでわからなくて、ゆっくり唇が離された時には、放心状態で。


今の……って。


いきなりのことに、泣きそうだと思っていたのもピタリと引っ込んでしまった。


「翼、翼、うるさい」


目の前の彼は、まるでなにもなかったかのように平然とそう言っている。


意味がわからない……。


「早凪くん……今、何して……」


心臓が異常にバクバクして、このまま死んじゃいそう。


身体中、一気に熱を帯びて。


クラクラしそうになる。


早凪くん、今、私に……。


でも、なんでもなかったみたいな顔をしてる彼を見ると、私の短い夢だったのかと思ってしまう。


「……うるさいから、塞いだ」


「はっ……」


『うるさいから』
それだけの理由で、早凪くんは好きでもない子にキスができちゃうわけ?!


いくらマイペースで自由人って言ったって。


そんなのひどすぎるよ。


私にとっては、大事な……ファースト……キス、なのに。


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