クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「翼くんは優しいよ、早凪くんみたいに全然自分勝手じゃないし、翼くん、女の子みたいに可愛いけれど、中身はすっごくカッコいいの」
自分でも、自分が何を言いたいのかわからなかった。
頭は早凪くんのことばっかりなくせに、変に翼くんと早凪くんを比べて。
こんなことしたって、早凪くんには本当に大切な幼なじみの莉々ちゃんがいて、
私のことなんてこれっぽっちも女の子として見てないってことぐらい、わかっているはずなのに。
それでも、この口は黙ってくれない。
「……翼くんはちゃんと私のこと気にかけてくれるの、翼くんは、翼くんは……」
早凪くんより、ずっといい男の子だ、なんて。
そんな意味のないことをアピールしようと必死に、どうしようもなく泣きそうになりながら声を発していたら、
「……っ!!」
っ?!
突然、柔らかいものを唇に押し付けられた。
目の前には……。
目をつぶった、早凪くんのアップ。
……なに、これ。