だから何ですか?Ⅲ



「和〜、コーヒーでも淹れようか〜?」



不意に響いた声はリビングの扉を開けられ叫ばれた物だろう。


距離を感じる張った声だけども、亜豆に緊張を与えるには充分だったらしい。


緊張は時に程よく羞恥心を呼び起こし、羞恥心はまた快楽を強める事もある。


何も言っていないのに、快楽に浸りきった微睡み顔に焦りを混ぜて俺を見上げてくる亜豆は愛らしい。



「和〜?」



なんか、前にもこんな事あったな。


持ち合わせた記憶とデジャビュの様な時間。


クスリと笑うと、亜豆を覗きこみ『見せつけちゃう?』なんて小声で囁く。



『ダメ』という様に切なげに目を細め首を左右に振る亜豆を捉えている間も。



「和ってば。寝ちゃった?」



一気に距離を詰めコンッと扉をノックしての確認の声掛けに、腕の中でビクンッと反応した亜豆が『お願い』とばかりに縋り付いてくる事に
小さく笑い。



「残念」



そう小声で囁くと、



「コーヒー・・いらないってさ」


「そう?クッキーもあるけど?」


「ん〜、・・いいってさ。・・・今は、甘い物でお腹いっぱいらしいから」



雛の言葉に受け答えながら、腕の中の亜豆に意地悪に笑いかけながら指先で腹部を撫でる。


『お腹いっぱい、だろ?』と表情で問いかければ、悔し紛れか唇が当たっていた箇所を軽く甘噛みなんていう行動。

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