だから何ですか?Ⅲ
意表を突かれていた呆ける俺を押しのけると意識引かれるままベッドを下りようと身体を動かす。
そんな展開にようやく自分の意識が追いつくと、
「っ・・ちょっと、待てっ!・・・・・て?」
ふざけるな。と言わんばかりに身体を起こし、離れかけた亜豆の腕を掴んだところまでは勢いの持続。
それでも次の瞬間には自分でも驚くほどガクンと崩れて目が回る。
崩れた途端にまるで力も入らず、こんどは発熱に息を乱す俺をツンツンと突く姿は今にも『馬鹿ですね』と呆れ声を落としそうだ。
「亜豆・・・」
行くな。と、欲する様に渇望の声音を響かせたと思う。
そんな俺を目を逸らす事なくまっすぐに冷静な目で見つめて、次の瞬間にはスプリングを揺らし立ち上がった姿が乱れていた衣服を直し始めるものだから、
「っ・・亜豆、」
と、声を張ろうが覇気はないし、手を伸ばす余力すらない俺には亜豆がドライにいそいそと身を整えるのを眺める以上はなく。
しかも・・・めっちゃ早ぇぇぇ!とある意味感心する。
ベッドから立ち上がりながらブラジャーを直して服の裾を引き下ろす。
鞄に向けて歩み始めた時には乱れていた髪に手櫛を通し、慣れた様に縛り上げると足元の鞄から携帯を取り出していた。