だから何ですか?Ⅲ
そのまま着歴を確認したらしく、すぐに操作すると携帯を耳に当てて、
「・・・亜豆です、すみません。少々立て込んでいたものですから。すぐに折り返します」
そんな言葉短な通話を一時。
すぐに携帯を鞄に放り込むとその鞄を掴んで入り口に向かい背を向けるからさすがに、
「お前っ・・・っ・・・亜豆、行くなって」
名残も見せずにさらりと立ち去ろうとしている姿にはっきりと待ったの声を響かせれば、それにも特別感情的でない無表情がこちらを振り返りジッと見つめてきた。
何ですか?と言いたげな姿には色々な感情や言葉が浮上するも、やはり口からついて出るのは、
「行くな・・・」
だって、・・・なんとなくだけど、あいつなんだろ?
お前を冷静にさせ切ったあの電話の相手は・・・あの高城社長じゃねぇの?
思い出してもいけすかない。
ってか、何で反応すんだよ。
俺からの着信もメールもそんな風に反応した事あったかよ!?
それに、跡つけるな。とか、見られて困る理由でもあるのかよ!?
ああ、もう、浮上しだしたらキリがない疑問や不満のオンパレード。
何より、
「俺より優先させなきゃいけねぇのかよ、」
それが一番面白くないと強く浮上した不満だ。