だから何ですか?Ⅲ



「今日ここに来た目的なんですが、」


「・・・・はっ?」


「謝りに来ました。・・・そして、『もう会社の前に来ないでください。』『迷惑以外の何物でもありません』」


「・・・・・・」


「『私と彼の関係の邪魔をしないで』・・・そう、言いに来たんです。それでは、・・・おやすみなさい、伊万里さん」


「っ___亜豆っ!!」



と、名前を叫んだ時にはすでに扉が閉まりかけており、無情にも閉まり切った音が大きく反響する。


小さく『お邪魔しました』と言う声と玄関の扉が閉まる音も響いてしまえば只々悶絶。



「っ___の・・・やろう・・・」



苛立ちともどかしさを発散させようと思っても非力な現状じゃベッドを殴るなんて気力もない。


ああ、でも少しいい傾向?


苛立ちに悲観が混じらなくなったのは亜豆の心が完全に俺から断ち切られたわけでないと体感したから?


ああ、でも・・・体感したからこそ『何でだ!?』と苛立つ感情もあるのか。



「『来るな』とか・・・よく言うよ」



期待してた癖に。


いると思ってパンまで買って会いに来たくせに。


その後の衝突だって、本当に俺を拒絶したいなら謝りになんてくる必要なかったんだ。


謝りに来て・・・、本当にそれで終わりにしたいならキスなんてしてこなきゃいい。


・・・抱かれなきゃいい。


あんな・・・気持ちよさそうな、嬉しそうな顔しといて、

『迷惑です』とか説得力あると思ってんのか?



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