だから何ですか?Ⅲ



言い分としては向こうの方が正論なのだ。


異常な事をしているのはきっと俺の方だろう。


勿論自分を正当化するつもりはなくて自分でも何をしているんだと振り返る事だってしているさ。


それでも、こいつに対する不思議と湧いてくる敵意に対しては『何をしているんだ?』とは微塵も思わない。


どんな笑顔を向けられようと低姿勢の姿や物言いでも、どうしても素直にその姿のままを受け取れない。


どうあってもいけ好かない。


俺はこいつが嫌いだとはっきり言いきれる。


だからなのか俺もはっきりと感じるんだ。


こいつも俺を気にくわないと嫌っていると。


気が付けば双方無言で視線だけの対峙。


それでも向こうはさすが大企業のトップと賞賛すべきか、そうそう笑顔の武装は解かないらしい。


解くどころか更に目を細め俺を見つめる双眸は優男に似つかわしくない鋭ささえ感じる気がする。


それに負けじと張り合う様に挑み合って向かい合う様は獣同士の威嚇の様な。



「社長、」



気が付けばまわりの音など忘れていた。


風の音も人の声も。


そんないつの間にか外部を遮断したような緊張の空間を裂きに来たのは亜豆の声で。


それでも俺に向けられた言葉ではなく社長である高城の意識を引く呼びかけだ。




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