だから何ですか?Ⅲ


それにすらムッとして亜豆に視線を向けてもあちらから視線を返されることもなく、視線も言葉もただまっすぐに高城に向けられ俺の存在など下手したら意識から外されているような状態。



「会議の時間もありますので」


「・・・そうだね」



そんな出来上がった会話。


社長と秘書としての単なる事務的な会話であってもやはり面白くない。


亜豆がこいつの隣にいることが面白くない。


視線が、意識が、こいつに独占されているのが面白くない。


何より・・・、



「では、仕事なのでこれで」



どこまでも優位を示したように笑って亜豆を掻っ攫っていくこいつが面白くない。


それでも仕事を理由に出されてのそれに太刀打ちできる術がないのも事実。


しかも・・・お前もなにシレッと無視決め込んでんだ亜豆。


えっ?視線すらまったく寄越さずにそいつと行くんかい!


俺など全く意識の範疇外だと言わんばかりに高城と並び振り返ることもなく背を向け遠ざかっていく姿はいつも以上につれないと感じる。


この前もそうであったけれど、高城の姿が介入すると亜豆はどこか過剰に俺を拒絶する。


まるで、俺などとっくに見切って自分の意識は無いのだと言いたげに。


そんなに高城に誤解されたくないんか!?


・・・と、最初こそ思えど、それにも最近違和感を感じ始めたのは俺の都合よしな感覚なんだろうか?



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