だから何ですか?Ⅲ
「しっかし・・・よくこの程度の怪我で済んだねぇ」
菱塚の社長室、応接用のソファに腰かけ用意してもらったスタンドミラーを覗き込みながら切れた口の端に薬を塗りこむ。
さすがにピリッと痛む刺激に顔をしかめ『痛っ』と声を漏らしていれば、隣にどっかりと身を置いて俺の様子を伺っていた三ケ月が感心らしい声を上げた。
「家が家なもんだからな。そう簡単にやられて堪るか」
「いやぁ、コワイコワイ。俺だったら今頃ボッコボコにされて病院のベッドの上で意識不明とかだったかも」
「で?結局お前がやられた風な写真撮らせて送信させたのか?」
「まぁね。それで俺が姿現さず大人しくしてりゃ、また新たになんて仕掛けもしてこねぇだろ?」
傷の手当てを程々にパタリと救急箱を閉じると、そのタイミングを待っていたかのように海音が顛末を確認してくる。
あの後3人にいかにもな自分の写真を撮らせて送信させた。
その後もしかしたら何か証言として役に立つかもしれないと3人の番号や名前を聞きだし、それを条件に示談として解放して今に至る。
まぁ、殴られた顔でこの部屋に登場した時にはそれはそれは面白い程この2人が取り乱したのは言うまでもない。