だから何ですか?Ⅲ
『・・・・・言葉を話す必要性がなかったから』
あの屋上で、風に煽られながらぽつりと零した理由の原因はこれだった。
言葉なんて意味を為さない様な場所で追い込まれていけばそりゃ話すという意思表現を必要としなくなって当然だ。
『お前に友達は一人しかいねぇのかよ』
『昔はもっといた様な気がしてたんですけどね』
『気がしてた?』
そんな会話も今になって思いだしてみればひたすらに切ない。
あの時、どこか遠くを見つめる様な眼差しや表情に憂いが生じたのを覚えている。
その【どこか】はこの記憶の時間で、いた様な気がしていた友は全て高城に奪われて戻る事はなかったんだな。
拠り所がなかった?
海音は海音で自分の問題にぶち当たっていた時期だと言っていた。
双子の姉もそんな海音に寄り添って支えていたと。
そんな2人に亜豆はきっと手を伸ばさない。
亜豆は強いから。
自分でも強いと自分を信じてるような奴だから。
亜豆自身も限界が見えず、積み重なっていく負担に自分が壊れていく音すらも聞き逃して・・・プツリ。
それが海音の言っていたスイッチ。
むしろ本当に壊れきる前に電源を落としたのかもしれないな。