だから何ですか?Ⅲ
「・・・・大丈夫か?顔色が悪いぞ」
いつの間にかシンッと静まり返っていた空気に震えたのはどこまでも感情を揺らさない冷静の声音。
無意識に視線を落としていたことを声かけで頭を上げた瞬間に気がついて、そうして絡むのは探るような緑の意識。
いつの間にか立場の逆転の様に案じるような言葉を投げられて。
この人がそんな確認をするくらいなんだからよっぽど酷く病んで見えたのだろう。
実際・・・少し・・・いや、かなり・・・芳しくはない。
「・・・・・・あいつ・・・俺の前じゃ笑ってるほうが多いから」
「・・・・・・」
「確かに・・・今だって『他人への関心がねえな』とか、『交流下手』とか・・・本質を晒さねえなって思ってたけど。・・・それに自分だけの【特別】を感じて・・・優越感を覚えてたけど・・・」
「・・・そこは・・・引け目を感じるような【特別】じゃないだろ。むしろ・・・優越を感じてやらないと怒るぞ亜豆は」
「っ・・・知って・・ます。知ってるけど・・・」
切ない・・・、
抱きしめたい・・・、
どこまでも・・・愛おしい。
俺に向けられる笑みの価値を知らなかった。
無邪気な本質を惜しまず見せてくれる事がどれほど大きなことか。
『好きです、』
躊躇いもなく素直に言葉として吐き出される感情の重さも。