だから何ですか?Ⅲ
まさか、その時間に再び戻されることになるとはね。
嫉妬というのは恐い。
特に女性の色めいた感覚混じりの嫉妬は特に。
高城は場所を変えても高城で、自分の城の中ではどこまでも良識な王様であるらしい。
つまりは女性社員の理想的な男性でもあるわけで、この会社にきて嫉妬からの攻撃は幾度受けただろうか?
朝、部署内で一番に出勤するのはすでに安定。
下手に誰かよりも遅れれば『社長の覚えが良いから』とか『特別待遇』だなんて言われて突かれる。
言葉の刃ならまだいい。
黙って飲みこんで仕事に専念すればそれで済む話。
それでも・・・この会社にきてカップを新調したのは何度目?
ペンは?メモは?下手したら予定を書き込んでいた手帳をトイレの中に捨てられていたこともあったっけ。
どれもこれも子供じみた嫌がらせだ。
激情した女子社員に叩かれた事もあったっけ。
こうしてここで過ごせば如何に菱塚の職場が温かみに満ちていたのか痛感する。
自分の居場所があり、求められ、結果が正当に伴う待遇。
『凛生』
『亜豆』
海音君に呼ばれるのが、伊万里さんに飛ばれるのが、
【亜豆凛生】を好きだと言えた場所。