だから何ですか?Ⅲ
こうなってくるとひっきりなしのコール音がまるで危険信号の音の様だ。
高城の城が崩壊する音であり、私の息の根が徐々に止まっていく音であり。
いっそ一気に殺してくれた方がどこまでも楽なんじゃ?とさえ頭によぎるほど呼吸の苦しさには涙が浮かぶ。
自分の意図としたものでない声が『あ』『くっ』と漏れて、さすがの苦しさに自分を害為す相手の手首を掴むのに非力。
意識が遠のきそう。
ああ、なんて失敗だろう。
こんなつもりじゃなかったのにな。
殴られて傷だらけになるくらいは想定内であった。
高城が逆上することも。
でも、ここでまさか命を落とすような予定ではなかった。
傷だらけでも過去の時間を清算して【亜豆凛生】に戻るつもりであった。
例えもう同じような居心地のいい場所が用意されていなくとも、笑って出迎えられなくとも、
・・・伊万里さんに呆れられ、怒られ、詰られようとも。
ああ、そんなの・・・
物凄く幸せな事じゃない。
『ばーか、』
そんな風に言われるだけ、
目の前に在れるだけどれだけ私は幸せであるのか。