だから何ですか?Ⅲ
30分も存在に気がついてやれなかった。
一緒に居るのに話すでもなく、意識を向けてやれなかった。
そんな申し訳なさは勿論浮上するわけで、早く声をかけてくれていたらと思いながら言葉を弾いたのに。
そんな時間に何の問題もないとばかり。
不満もなくむしろ満足に満たされていたと笑ってくる姿には絆され負ける。
今までこういう瞬間は嫌な顔ばかりを向けられてきていた。
仕事を否定し、最後には俺を否定し罵って去って行った姿が殆どだ。
今だって過去の影響からか僅かにもそんな瞬間に身構えていた自分がいるのに肩透かし。
「お前って・・・本当に変」
「失礼な。30分も大人しくしてたっていうのに」
「それだよ。30分も相手にされてねぇのに怒ったりしねぇし。仕事も嫉妬の対象じゃなかったっけ?」
「いちいち浮気相手に余裕崩せないって本命のプライドです」
「ブッ・・・仕事は浮気相手に括られるのかよ?」
「そうですよ。何よりも手ごわい浮気相手です。何せ伊万里さんの素直な喜怒哀楽を引き出せる強敵ですから」
「ああ・・・・本当だ」
「納得しますか?嫉妬に狂いますよ?」
ワザとらしいムッとした表情。
でも口元に浮かべるのは弧ばかり。
冗談なのか本気なのか分からぬ嫉妬の魅せ方に不快感なんてまるで浮上せず。
むしろどこまでも俺に優しい嫉妬。