だから何ですか?Ⅲ
むしろ居心地がいいのだ。
亜豆と一緒に居る時間が、特別何をするわけでない時間でさえも。
ただ・・・傍に気配を感じるというだけで居心地が良くて。
ああ、やっぱり・・・
「亜豆、」
「はい?」
「あのさ、」
歩いていた歩みを止めて、一歩前に進んだ亜豆の手を引き意識を引いた。
そんな声かけに『何ですか?』と振り返り見つめてくる姿に何故だか少し胸が詰まる。
また・・・突発的な流れだろうか?と自分でも思いつつ、それでも衝動のままに言葉を続けようとした瞬間。
「菱塚家、亜豆家のご参列の皆様、お式の準備が整いましたのでチャペルの方へとご案内させていただきます」
そんな、係の誘導の声に勢いを阻まれて、半開きであった口を閉じると間の悪さに思わず失笑。
そのまま掴んでいた亜豆の手を離すと、
「伊万里さん?えっと、今なんか言いかけて、」
「うん、ま、後でな。急いでする話じゃねぇし」
とりあえずは式が先だろう。と止めていた歩みを再開させて、亜豆の背中を押して促し式場内へと足を進めた。