だから何ですか?Ⅲ
そんな俺に『どうしたんですか?』と言いたげな眼差しが向けられ反応を待っているのは分かるのに。
なんだろうな。
なんて言うのか。
この突っかかりをどう説明していいのか。
この複雑な感情の変化をどう形にしていいのか。
無意識に口元に手を当てて、弾こうとしていた言葉を押しとどめて温める。
なんか・・・違うんだ。
この響きでも間違いではなくて、それでもこの響きでは物足りなくて不完全で。
当てはまる言葉を探す様に周りに視線を走らせれば意識が止まったのは賑わいの中心に居る今日の主役の2人の姿で。
その姿にストンと代わりの言葉が口内に広がる。
手で覆った口元にはゆるりとした弧が浮かび上がって、亜豆に視線を戻した時にはその手は外され笑みを落とす。
そんな俺にようやくどこか安堵をチラつかせつつも何事かと戸惑う感情も健在らしく、
「伊万里さん?」
小首を傾げながら覗き込んでくる姿の頬を擽りクスリと笑うと、
「・・・愛してる」
「っ・・・・」
「やっぱり・・・この空気にあてられてんのかな?こんなこっぱずかしいセリフ多分・・・普段なら易々言えねぇ」
クスクスっと笑って見せたのはやはり照れ隠しもありきのもの。