だから何ですか?Ⅲ
「ちなみに亜豆って今みたいにモテてたりしたのか?」
「・・・今みたいにって、私モテてた記憶ありませんが?」
「いや、モテてたんだってお前。狙ってた男が社内だけでどんだけいたと思ってんの?」
「言い寄られた覚えはありませんが?」
「それ絶対に言い寄ってんのに気づいてないか、あとはお前のその鉄壁の無表情?」
「無表情に怯むくらいならその程度って事では?」
「ってか、お前って本当に心開いた相手以外には無関心っつーか。むしろ近寄ってくれるなオーラ全開だよな?」
「・・・・・無駄に浅く幅広く人とつきあいたいと思わないだけですよ」
「・・・・・」
「必要な人は自分で選びます。自分で近寄って・・・その人だけでいいんです」
亜豆?と声をかけたのは心の内だけ。
タイミングよくウェイターが注文していたビールを持って再来したから。
『ごゆっくりどうぞ』なんて笑顔の言葉を見収めた時には声をかけるタイミングも感情も逃してしまっていて。
何より亜豆がすでにその話から離脱した感覚でビールグラスを手を伸ばし、『いただきます』なんて笑って口に運び始めていたから。