だから何ですか?Ⅲ
それでも、『今更だな』と、フッと笑って煙草を噴かし、変な気恥ずかしさからか視線を公園を囲う草木に逃した。
そんな俺を見つめる亜豆が不動なのは気配で分かる。
何も言葉を発しない姿は何を思っているんだろうか?
無言になられるとなんだか余計に改まった気まずさがあるじゃないか。と、さすがに逃していた視線を戻しかけた刹那。
「私も好きですよ」
そんな響きに胸の内が熱くなる。
反射的に口の端も上がる。
でも・・・・一瞬だ。
「別れましょう」
次に発されたその一言に一瞬で全てが打ち崩される。
頭が真っ白になると言う状態を今までだって幾度となく経験してきたはずだった。
でも、ここまで何も考えられなくなったのは初めてだろう。
だって・・・・・今、なんて言った?
そんな戸惑いの疑問を抱いた時には視線は亜豆に戻ってその姿を映していた。
いつもと何ら変わらない。
屋上で俺の隣で煙草を噴かすような無表情亜豆の姿。
まっすぐに俺を見つめて、呆けている俺の口から煙草を抜き取ると自分の口に運びゆらりと紫煙を漂わせる。
そうして何事もなかったかのように煙草が俺の口に戻された。