once again〜season2〜

「そう言うことなんですよ。如月商事の社長と結婚して、役員になると言っていた涼香がSEIWADOの社長になれる訳がないでしょう?SEIWADOの人間になる以上、私との結婚は白紙に戻るんじゃないですか?私の父もそれは許さないと思いますよ。SEIWADOとはあくまで、業務提携しただけだと。如月とSEIWADOでは、如月の方が格下なのは分かってます。それを分かっててこの話をされてるんですよね?」

蓮さんの話に、兄は呆然となっていた。自分の想っている人を助ける代わりに、妹の幸せを無にしていいのか、それが正解なのかどうかを。

「申し訳ないですが、私は涼香を離す気はないですよ?それがどう言う事か分かりますよね?勝手だと言われても、やっと掴んだこの手を私は離さないと決めたんです」

そう言うと蓮さんは、私の手を強く握った。そして頬に流れた涙を拭ってくれた。

「びっくりさせてごめんな。俺はこの手を離さない、絶対に」

「……蓮さん」

「お義兄さん、今日は帰ってもらえますか?まとまな話が出来る状態じゃないですから」

蓮さんに促され、兄は帰って行った。

「俺が別れると思ったのか?んな事する訳ないだろ?」

「だ、だって…本当だと思うじゃない…」

「いや、話をちゃんと分かってもらう為には、あそこまでしないとお義兄さんは分からないと思ったんだ。SEIWADOにあくまで帰ってきてもらうのが目的なんだから」

私はこんなに素敵な人に愛されてるんだと、実感していた。
< 39 / 260 >

この作品をシェア

pagetop