星空電車、恋電車
「ホントに樹先輩LOVEなんですね。樹先輩が私と会ったことを自分に話さなかっただけでそんなショック受けるんですか」

がっくりと肩を落としてる京平先輩の姿にちょっと引く。
もしかして本気で恋愛対象???
高校時代も校舎で見かけるといつも一緒にいたし。樹先輩は私と一緒に帰るのに校門までギリギリ一緒にいたし。

あらら・・・
その場合、私はにっくき恋敵ってことでいいのかな。
いや、あの時はそうでも今は別れてるんだし。
あ、でも私が黙っていなくなって樹先輩がしばらく落ち込んだって言ってたからやっぱり樹先輩にそんな事した私には怒り百倍、いや千倍だよね。

「なんかスミマセン。京平先輩の気持ちも考えずに。高校時代も、今も」
ぺこりと頭を下げた。

「でも、もう完全に話は終わりましたから樹先輩は納得できたと思います。他に現在進行形のこともあって大変だと思いますけど、京平先輩は京平先輩で頑張ってくださいね」

気まずさを振り払おうとわざと明るい声を出してみたのだけど。

「は?何言ってんの。意味わからん」
京平先輩がさらに目を細めて冷たい視線を送ってくる。

「えーっと、ですから私はもう2年前から京平先輩のライバルではないと・・・」

「なんのだよ?」

「え?こ、恋の?!」

「は?はあああああああああ?」

頭を抱えて大声を出してカウンターテーブルに突っ伏した京平先輩に慌てて「うるさくしてすみません」と周囲に謝る私。
どうやらちょっと言い方を間違えたらしい?

「あのー」ちょいちょいっと肩先をつんつんしてみる。

「お前なあ」
顔を突っ伏したままで返事が返ってきた。心なしか身体が震えているような。

「俺は普通に女が好きだ!!!」

またも大声を出した京平先輩に周囲の視線が集中してきていて私はまたもや慌てて「うるさくしてすみません」とあちこちにぺこぺこと謝った。

「ほんとに、いい加減にして下さいよ。ここはスポーツバーで皆さん中継見て盛り上がってるから多少いいようなものの。緊迫した場面で関係ない話題で騒いだら怒られますって」

こちらを興味深げに見ている周りの状況に気が付いた京平先輩は顔を赤くして「お前のせいだろ」とトーンダウンした低い声で唸った。

「俺のこと、なんでいきなり樹相手の恋愛認定してくるんだよ」

「えーっと、高校時代からずっと京平先輩の樹先輩に対する愛の深さを感じていたんでぇー」

はあ?!っと京平先輩は目を剥いた。

「・・・お前、バカだろ」

ーーーーーーバカにバカと言われてしまった。
< 101 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop