星空電車、恋電車

帰り道の電車の中で樹先輩にラインをしておいたけれど、なかなか既読にならず私の不安を煽る。
あの子のところにいるのかな。
入院した知り合いがあの子だって決まったわけじゃないのに、不安感から入院したのはあの子だって思ってしまっている。

話したいことがあるとラインしたのに、結局返事がきたのは22時を過ぎてからだった。

『ちー、どうした?』

能天気な返信についイラッとしてしまう。
怒り顔で腕組みした熊のスタンプを送る。
本当はこんなやりとりを望んでるわけじゃないのに。

『何かあった?話したいことって何?』
いつもながらの樹先輩に更にイラつく。

『樹先輩こそ部活もお休みだったし、大丈夫ですか?』

『幼なじみが急に入院して呼び出されてたんだ。俺の体調が悪かったわけじゃないから大丈夫だよ』

幼なじみって?
やっぱりあの子のことかな。
踏み込んで誰ですか?って聞いてもいいのかな。一応彼女なんだし。

そうは思っても、なかなか勇気が出ず次の文章が打てないでいると、樹先輩の方から先制パンチがとんできた。

< 23 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop