星空電車、恋電車
「ううう、苦しい」
喉元まで食べ物が詰まっているような感覚。動いたら出ちゃうんじゃないかな。

「当たり前だよぉ。あれ全部食べたんでしょ。もうびっくりだよ」
ユキが呆れ顔で座り込んだままの私を見下ろしている。

「もうここ出なくちゃいけない時間なんだからぁ」

そう言えば制限時間があるって言ってたっけ。
でも、そう言われても満腹で動けない。
隣を見ると、京平先輩も心なしか顔色が悪いように見える。

あれから二人でムキになって残っていた料理を平らげたのだ。

「ホント、信じられない。あれ全部二人で食べたなんて。どこに入ってるの」
私のウエストを触ろうとするユキから身をよじって逃げる。

「触られたら出そうだからやめて」
途端にユキに嫌そうな顔をされた。

「もー、そんなんじゃお店から出られないでしょ。二次会どーするのよぉ」

「もちろん行かないよ」
「あ、俺も」
隣で京平先輩も手を挙げた。

「俺たち、ここのカウンターで一息ついてから帰るから。な、水口」
事前に相談したみたいな口ぶりだけど、そんな話はしていない。でも、まだ動けそうもないし京平先輩に賛成。
「動けるようになったら帰るから、ユキは二次会に行っていいよ」

でもとか、だってとか言うユキの背中を押して二次会に行かせて、私と京平先輩はヨロヨロと個室を出てカウンター席に移動すると仲良くウーロン茶をオーダーした。

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