不良な彼と恋の契約
大好きで、大好きで仕方ない君が


私を見つめた。


行きたい。
彼のとこに行きたい。
だけど、男の手は私を掴み離さない!!



「仁くんっ、いたっ!」

強く握られた手に泣きそうになる。


「早く部屋こっちだからーー!?」


ビュン!!






階段の上、凄い高さをジャンプして彼らは私の目の前に着地した。





「なんだコイツら、バケモンか!!」




「離せよ」


低い声が聞こえて、輝くん。
明らかな、不機嫌。


不機嫌通り越してーーーー蹴り飛ばした男の手が離れて、私の身体は宙を舞う。

「きゃっ!」

宙を舞ったのは、一瞬だけ。
私は、輝くんの腕の中にいた。

「ごめん、想。
怖い思いさせて、ごめん。
やっぱ、仁に幸せにして貰って。
諦める様に努力する。

仁、頼んだ」



輝くんは、私を仁くんにソッ、と返した。

仁くんの腕の中。

階段を静かに降りてく背中に、、

「輝くん、ありがとうっ!!


助けに来てくれてありがとう!」



叫んだ。


私の声、貴方に聞こえましたか?



不意に振り向いた輝くんは、笑っていた。







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