旦那様からのI LOVE YOU「 雪菜偏」


「あの人と一緒になりなよ。」




心を切り裂くような雪菜の冷めた
言葉によっぽど堪えたのか
魂が飛んだような顔をした大夢が
ポカーンとアホずらになっていた。
   

なんかヤバいと思った雪菜は目の前で大夢が壊れかけて行くのが
わかった。

顔つきが変わっていく。
無表情に‥
目の焦点が会わなくなり、
いっちゃってしまったような顔つき。

静かに雪菜を見るが、本当に焦点が合わない。

「だ、‥大夢?」

      「ン、」
口からよだれっぽい物がダラリと落ちた。

「大夢、大夢!! 大丈夫!! 大夢。」


ああ、あわてた雪菜は‥
       

「Υ、YESしか受付ないん   
でしよ。何人産めばいいの?
産むから、産んであげるってば!!
馬鹿じゃない?こんなに
見られてんのに恥ずかしくないの    大夢ー大夢ってバッ‼  ?」

ペチペチと頬を叩いた。

その言葉を聞いた大夢の顔に
血の気が戻った。
目も黒く生きてきた。

それを確認した雪菜はホッとしな
がら思った。

人が壊れていく瞬間って、本当に
身の毛がよだって来るんだとそしてこの人は本当に私の事好きなんだな、
と思った。

大夢が壊れてしまったら、
私は‥私は‥
雪菜も安心して力が抜けた。
かべに寄りかかり、ぐったりとなる。


「必死なら恥ずかしくない!!

で!!俺様を捨てて何処いくつもりだった?」

雪菜の手をなでながら帰って来た
痛みに、耐えながらひざまずき聞
いてみる。


     「フランス!!」
「は?」う"ぐっ
     
 「フ、フ•ラ•ン•ス•だよっ‼」

「あんなに長崎にへばりついてたのに?
 簡単にフランスに乗り換えるのか?」

「修行中だから、行くわよ。」

「い、いくのーか!! 」あっあっ
血の気が戻り叉よけい痛みが増し
復活したようだった。



「今度はフランスに負けたのか?」
ウウッ

「だからぁ、比べる意味が分から
ないってば!!」

結局大夢を迎えにきた光寿郎が嫌がる大夢をひきずり部屋に連れ帰った。


股間を抑えて、オカマ歩きの大夢を病院に連れて行き
何とか痛みも引いたようだ。

全てを悟った綾乃は言った。

「雪菜‥さん。大夢を愛してるの。もう私も28なの、こんなに愛した人は居ない。御願い必ず幸せにするから。彼を大夢を私に下さい。

大切にするし、あなたに
慰謝料も払います。‥だか‥ら
御願いします。」

彼女は泣きながら跪ずいた。

「ごめんなさい。私も大夢を愛して
ます。
 彼をこのままにしておいたら
 壊れてしまう。
 壊れてしまった大夢でも愛せ
ますか?見たでしょう。」


「‥ううう。」
彼女は崩れ落ちて泣き出した。


「ごめんなさい。
 譲れません。大夢がアナタを望むのなら話は違いますけど・・・。

 彼が決める事です。

心はお金では買えない。買えるのだとしたら
それは愛では無いです。

愛情って、育てる物だと思います。
分からないけど、私は大夢を売ら
ない。」



























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