姫は王となる。
「そんなに、睨むなよ。言うわけないだろ?お前がどうなろうと、私には関係ない。むしろ、お前が消えてくれた方が好都合だ」
カイトはそう言うと、扉に向かって歩き出す。
「お待ちください。国境まで、お送り致します」
その後ろ姿に向かって、駆け寄る。
「心配しなくても、花蘭女王様からの返事を聞くまで何もしない。国境近くまで、護衛兵数人でいい」
後を追っていた風を制止させ、カイトが言った。
「お前は、自分が何をすればこの国のためになるか考えろ。ま…私に言われなくても、わかってるんだろうけど」
最後にそう言い残し、カイトは応接室から出て行った。
パタン
静かに扉が閉まり、一人残された風。
「…わかってるに決まってる」
シーン…と静まり返った部屋に、風の言葉が響いた。