姫は王となる。




パタパタ


パタ…




廊下の足音は、応接室の前で止まった。

「…王様は、どうなされた?」




扉に向かってそう聞くと、静かに扉が開いた。





「王室に戻られました。今は、副長が付いております」


扉を開けたのは、老婆だった。


「…聞いておられましたか?」


「"お前が消えてくれた方が好都合だ"というところから、聞いてしまいました」


「そうですか…」

老婆は応接室に入ると、静かに扉を閉めた。



そしてゆっくりと、ソファーが置いてある部屋の中央へと、老婆が近付いてくる。


「何を考えておられるのです?風」


…老婆には、聞かれたくなかった。


「まさか…王様の前から、いなくなろうとしてるのですか?」




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