姫は王となる。
「王様…」
「老婆も下がれ」
「しかし、王様…」
「下がれと言っている」
老婆を睨み付け、ほぼ八つ当たりの言動をしてしまった。
八つ当たりはいけないとわかっているけど、今は自分の感情を抑えることができない。
「はっ…失礼致しました」
老婆は深く頭を下げると、王室から出て行った。
パタンー…
再び、扉が閉まる音だけが耳に響いた。
「…何なの…もう」
一人になった王室。
「なんでっ…」
風が言った言葉が、頭を過る。
"…風は、私が西国の王子と結婚した方が良いと思っているのか?"
"もちろんでございます。王様"
小さい頃から一緒にいたからわかる。
何の迷いもない声だった。
風は、私が西国の王子と結婚しても何とも思わない。