お日様のとなり
「それって、」
気になって、ちゃんと聞いてみようとしたけれど。
「つーか、腹減った。なんか食い物売ってる店探すぞ」
「う、うん」
会話を遮られたような気がして、それ以上何も言えなかった。
きっと、気のせい……だよね。
何軒か食べ物のお店を回って、お腹が膨れてからはくじ引きや的当てなどのゲームをしているところに行って遊んだ。
バスケ部の先輩がわざと可愛い景品を選んで大蔵に渡してきたり、私よりも良くないスコアが出たらムキになって何度も挑戦しようとしたり。
まるで子どもの頃に戻ったみたいで懐かしくて、私たちは夢中になって遊んだ。
文化祭も終わりに近付いてくると、校外から来ている人もだんだんと少なくなっていく。
商品が完売して、店終いを始めるクラスもあった。
賑やかだった文化祭がもう少しで終わってしまうと思うと、寂しい気持ちになった。
「そろそろクラスに戻らないと」
時計を見ながら切り出すと、たくさん歩いて疲れたと言って、大蔵は空き教室に向かった。
手を引かれるままに、私も大蔵のあとに続いて使われていない教室に入った。
どこも派手に飾られた教室ばかりだったから、見慣れているはずの教室はがらんとしていて、どこか寂しげだった。
一番奥の窓際の席に腰かけて、一息つく大蔵。
その隣に立って、私は窓の外をぼんやりと眺めた。