壊れるほど君を愛してる
エピローグ




「二人供、早く起きなさい!」


莉奈が大声でそう言うと、二人の子供が部屋から出てきた。


結婚式を行った年の十月に双子の男女が生まれた。


男の子には俺の名前を取って“翔生(しょうき)”で、女の子は莉奈の名前を取って“生奈(せいな)”だ。


二人は男と女なのにとても似ていて可愛く見える。


莉奈がテーブルに朝食を置くと、二人は急いで食べている。そんな姿も可愛らしい。


「お父さん、生奈ね、卓球でいいサーブが出せるようになったんだよ!」


「俺だって、サッカーでたくさんシュートしてるもん!」


俺は朝からそんな二人の自慢を聞かされて笑っていた。


「早く準備しなさい!」


「はーい」


莉奈の言葉に口を揃えて返事する二人も好きだな。


そう思っていると、二人は急いで玄関に行った。


「お父さん、お母さん、行ってきます!」


「行ってらっしゃい」


二人で仲良く出て行くところを遠くから眺めた後、俺は鞄を持った。


「もう行くの?」


莉奈が聞いて俺は頷いた。


俺は近くの大手の会社に勤めている。堅苦しいスーツを着るのはあまり慣れていないけど。


莉奈は密かに小説家をしている。あの作品の続編である『壊れるほど君を愛してる』は大ヒット作品として名を轟かせた。


「じゃあ、莉奈」


俺はエプロンを着た莉奈の顎を上げて唇を重ねた。子供達が居ない時だけやっている。


「莉奈、行ってきます」


「行ってらっしゃい、翔」


俺は妻に手を振って、会社に向かった。





こんな平凡な毎日が大好きだ。幸せって不思議なものだと思った。




今日も明日もどれだけ辛くても、家族が居れば幸せになれる。





結婚しても想いは変わらない。




壊れるほど君を愛してる……。







☆END☆
< 62 / 63 >

この作品をシェア

pagetop