極上御曹司に求愛されています
目が熱くなるのをごまかすようにモグモグとハンバーグを頬張っていると、店のドアが開き、ひとりの男性が入ってきた。
「こんばんは。やっぱり、もう閉店ですよね?」
悔し気な声に芹花が視線を向けると、入口にスーツを着た長身の男性が立っていた。
細身のスラリとした立ち姿だけでなく、切れ長の目や形のいい薄い唇がバランスよく配置されている顔は印象的で、女性からの人気が高そうな雰囲気をまとっている。
「木島さん、運が良かった。今日はハンバーグがもうひとつ残ってるんだよ。どうだい?」
星野は男性に明るく声をかけた。
その横で、千奈美もニコニコ頷いている。
二人の気安い口調から、彼も自分と同様この店の常連だと芹花は察した。
「え、本当に? 是非いただきます。今日は忙しくて昼も食べてないんですよね」
「まあ、相変わらず忙しいのね。さ、座って座って。すぐに用意するからしっかり食べてちょうだい」
千奈美の軽やかな声に男性は嬉しそうに笑うと、慣れたようにカウンターの席に腰をおろした。
そして、スツールをひとつ挟んで座っている芹花の前にもハンバーグがあるのに気づいた。
「お互い、ハンバーグが残っていてよかったですね」
「あ、はい。えっと、おいしいですよね」
突然男性に声をかけられ、芹花は慌てて答えた。
彼が店に現れた時から、整った容姿から目が離せず気になっていたが、そんな気持ちを見透かされているようで照れくさい。