極上御曹司に求愛されています

「ハンバーグが食べたくてランチタイムに来ても残ってないことも多いから、今日は本当ついてるな」

弾んだ声とワクワクしている横顔に、芹花は見惚れた。
白いワイシャツに、紺色のネクタイというよく見る組み合わせだというのに、顔がいいとそれすら素敵に見える。
芹花はこのまま見ていたい気持ちをこらえて視線を手元に戻し、ハンバーグにナイフを入れた。
三百グラムの大きなハンバーグにはトマトソースがしっかりとからみ、口の中でじわりとおいしさが広がった。
このハンバーグはカフェで一番の人気メニューで、男性でも食べごたえのある大きさにも関わらず女性からの注文も多い。
芹花もそのひとりで、もともとおいしいものに目がない彼女にとってこのハンバーグを味わえる時間は極上のものなのだ。

「ん。おいしい。幸せ」

溢れる肉汁を堪能しながら芹花が思わず口にした言葉に、男性は口元を緩めた。

「付け合わせのポテトもおいしいよね」
「はい絶品ですよね。私も大好きです」

再び男性に話しかけられ、芹花は慌てて答えた。
すると、口にしていたハンバーグがのどにつかえ、小さくむせる。
水が入ったグラスに手をのばすと、芹花より早く男性が手に取り彼女に渡した。

「大丈夫か? 突然話しかけて悪い」

男性の焦る声に、芹花は水を飲みながら小さく首を横に振った。

「大丈夫です……気にしないでください」

突然話しかけられて驚いたのはたしかだが、むせるほど驚くほどのことでもない。
これほど見た目がいい男性に声をかけられることなど滅多にないのと、夢中で食べる様子を見られた恥ずかしさが相まって、むせてしまった。





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