極上御曹司に求愛されています
悠生のスマホを覗き込めば、写真の背景にはさっき二人のテーブルを通り過ぎた新郎新婦役のモデルが写り込んでいて、見る人が見れば、ここがアマザンホテルで、それもブライダルフェアに参加しているとわかる。
アマザンホテルの夜のライトアップは有名で、雑誌でも特集を組まれるほどなのだ。
芹花の年代の女性なら興味を持って見るに違いない。
「この写真を綾子が見たら、確実に誤解します。それに、もしも地元の友達が見たらそれこそ……」
芹花は慌てて鞄からスマホを取りだし綾子に電話をしようとするが、悠生にすっと取り上げられた。
「何をするんですか。綾子に誤解だって説明しないと」
スマホを取り返そうとする芹花の手を悠生は掴んだ。
「別にいいんじゃないの? 俺が芹花の恋人だって思われた方が好都合なんだろう?」
取り上げた芹花のスマホを自分のジャケットの内ポケットにしまった。
「綾子さんと電話で何度か話したけど、芹花に恋人ができたって言って喜んでたし、これで同級生たちに披露宴に出席しろって言えるって安心してたけど?」
「あ……それは、そうなんですけど」
どうにかしてスマホを取り返そうと、悠生の胸元をチラチラ見ていた芹花だが、すっと力が抜けた。
礼美の披露宴のことは、今でも気がかりなのだ。
そのことがなければ悠生との写真を綾子に送ることもなかったはずだ。
「それに、芹花の元カレのこと、かなり怒ってたぞ。二度と芹花に会って欲しくないけど、地元のことを考えた芹花がわざわざ披露宴に出席するとかなんとか。それこそ元カレを殴り倒しそうな勢いで文句を言ってた」
「うわっ。ごめんなさい。綾子って姉御肌っていうか私のことをかなり心配してるから。悠生さんに聞かせることじゃないのに、面倒くさかったでしょう?」
修に激怒している綾子のことだ、長々と悪態をついていたことは容易に想像できる。
「ほんとにもう……とんだとばっちりですよね、綾子には二度とそんなことを言わないようにきつく言っておきます」
芹花はそう言って頭を下げる。
さっきまで抱かれていた肩は解放され、ほんの少し寂しく感じた。