極上御曹司に求愛されています

高級ホテルの中庭を、色とりどりのライトが鮮やかに照らしているそして、おいしい料理と恋人たちのささやきが周囲を満たす。
ブライダルフェアの魔法にかけられたのか、悠生の体温が消えた肩が寂しくて、無意識に体を近づける.
置かれた互いの椅子の位置はとても近く、手を伸ばせばすぐに悠生の手に触れることができる。
初めてのアマザンホテルに緊張していた芹花も、おいしい料理と悠生と過ごす心地よい時間のおかげで心が弾んでいた。

「次はデザートか。アマザンはワインの品揃えがいいと有名なのに、今日は車だから飲めないのが残念だな。まあ、二人で食事に来ればいいか」
 
二人でと言われ、とっさにどう答えていいやらわからない芹花は曖昧にほほ笑んだ。
こんな高級ホテルに来る機会が再びあるとは思えない。
食器ひとつをとってみても、世界的に有名なブランドのものばかりだ。
料理に使われている食材も、普段の芹花の口に入ることはない高価なものだろう。
悠生は仕事を始めてからアマザンを利用していると言っていたが、実家は国内有数のお金持ちだ。
高級なものに触れることは多かっただろう。
それこそ芹花が目にしたことも聞いたこともない貴重なものを知っているに違いない。
ホテルに着いた時、車を預けたホテルマンとは顔なじみのように親し気に話していた。
何度もアマザンホテルに出入りしたことがあるとわかるその様子に、芹花は悠生との距離を改めて感じた。
小さなことだが、芹花がそう思うには十分すぎる出来事だった。



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