極上御曹司に求愛されています

成市も愼哉もとことん妻を愛し大切にしているようで、大企業の経営者にありがちな冷たい結婚など、この家には関係ないのだと、芹花は安心した。
そして、緑と千春のように、自分も悠生に大切にされたいと、思った。
 
それにしても、成市といい愼哉といい、木島家の男性はどうしてこうも格好いいのだろう。
芹花はほおっと小さく息を吐いた。
立場が人を作るというが、大企業グループを背負う責任感が、彼らを極上な見た目に仕上げているのかもしれない。
サラサラの髪や大きくてほんの少し切れ長の目、そして意志が強そうな唇。
そのどれもが三人に共通しているが、三人の中で一番素敵なのは、やっぱり悠生だなと、芹花はひとり納得する。
その時、緑が体ごと芹花に近づくと、悠生を軽く睨んでプイっと顔を背けた。
明らかに拗ねている緑の仕草に、芹花はあっけにとられた。
まるで小学生だ。

「芹花さん、ごめんなさいね。私の計画では、息子たちをかわいげがあって女性に優しすぎるくらい優しく甘やかす王子様に育てるはずだったのよ。だけど二人とも私の言うことはなにも聞いてくれなくて、いつも眉間にしわを寄せて難しい顔をしてるの。本当、がっかりなのよ。だから、芹花さんが悠生から逃げたくなる日もくると思うんだけど、その時は私の所に逃げて来てね。私がかくまってあげますから、安心してちょうだい」
 
そう言って胸を張る緑に、芹花は無意識に「ありがとうございます」と答えた。
その途端、悠生が芹花の腰に手を回し、そのまま抱き寄せた。

「いい加減にしてくれ。俺は芹花を手放すつもりもはないし、逃がすつもりもない。かくまうだと?ふざけるな。誰のせいでこんな面倒くさいことに巻き込まれたと思ってるんだよ。そうでなかったらとっとと芹花と結婚してるはずなんだ」
 
悠生の胸に抱かれたまま、芹花は今の言葉を聞いた。
直接耳に響いた言葉を脳内で繰り返すが、理解できそうもない。というより、信じられない。

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