極上御曹司に求愛されています

質疑応答が始まり、早速記者たちから手が上がった。

『次男の悠生さんが後継者に指名されたわけですが、その決定までの経緯をお聞かせ下さい。そして、さきほどは週刊誌の記事については何も答えないとのことでしたが、この発表と記事の内容に、なにか関係はあるのかお答えください』
 
着席していた悠生は、質問に軽く頷くと真面目な表情を浮かべた。

『木島家に生まれて以来、私は父の会社を支える道以外の選択肢を持ったことも考えたこともありません。敷かれたレールの上を歩くことが、苦痛ではなく、むしろありがたいと思っていました。もしも木島家に生まれていなくても、木島グループの一員として働きたいと思ったはずです。ですから、いずれグループを率いていく兄をサポートすることだけを考え、勉強していました。そんな私がグループを率いる立場に就くことになりますが、自分の生まれに感謝しながらも、それに驕ることなく真摯に職務をまっとうしていきたいと考えています』
 
悠生はそこでひと息つき、会場を見回した。

『今日報道された女性との記事の件ですが』
 
そう言った途端、悠生に再びフラッシュが光る。
記者たちが悠生の言葉を待ちわびているのだ。
芹花も悠生が何を話すのか気が気ではない。

『二人の女性のことは、とても大切に思っています。竜崎さんとは数年前の一時期お付き合いをしていたことがあり、今でも親しい友人のひとりです。そして、もうひとりの天羽芹花さんですが、行きつけのカフェで偶然出会って以来、仲良くしています』
 
にっこりと笑った悠生に、三井が苦笑した。

「仲良く……たしかにそうだよな」
 芹花はどう答えていいかわからず、曖昧にほほ笑んだ。

『天羽さんは、皆さんもすでにご存じだとは思いますが、今週末発売される話題のイラスト集の作者であり、そのイラスト集に掲載される黒板メニューは、私がよく行くカフェのメニューなんです。そこで偶然知り合い、仲良くしています』
 
すらすらと話す悠生を見ながら、芹花の方が緊張してドキドキしている。
今のところ嘘は言っていないが、これ以上突っ込まれるとごまかしようがない。
楓と生方隼人のことを考えれば、ボロが出ないうちに会見を終えた方がいいのにと両手を胸の前で握りしめた。
けれど、そんな芹花の思いとは裏腹に、悠生は朗らかな表情で言葉を続ける。

『お二人とも、私にとっては大切な人であり、こうして記事になって騒がれてしまったことを申し訳なく思っています。特に天羽さんは弁護士事務所で働いている一般人でもありますので、これ以上の後追いはやめていただければと思います』


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