極上御曹司に求愛されています

「ふーん。気が進まない結婚式ってことは。新郎は、芹花の昔の恋人、とか?」
「どうしてそれを。まさか修くんと知り合いなんですか? げ、げほっ……」

悠生の言葉に鋭く反応した芹花は、焦ったせいで再びせき込み、慌ててグラスの水を飲む。

「千奈美さんからなにか聞いたんですか?」
「まさか。誰からもなにも聞いてない。だけど、芹花のその落ち込んでる顔を見れば、想像するのは簡単だ」

芹花は力なく視線を上げた。
せき込んだせいで涙ぐみ、頬も赤い。
頬にかかった艶やかでまっすぐな黒い髪を、悠生は荒い仕草で払った。
いきなりのことに、芹花はハッと悠生を見るが、何故か不機嫌な表情で芹花を睨んでいる。

「あの?」

突然機嫌が悪くなった悠生に芹花は戸惑い、座ったままじりじりと後ずさるが、それを追うように悠生が距離を詰める。

「元恋人の結婚式なんて、行きたくないよな」
「いえ、そんなことはなくて……それに、欠席できないし……」
「だったら、その修っていう元恋人に、未練があるんだ」
「未練なんて、ないです」

芹花はキッパリとした口調で言い返した。
振られた当初は仕事にも多少の遅れが出るほど傷つき落ち込んだが、別れて二年以上が経った今ではもう、すっかり立ち直っている。

「たしかに元恋人の結婚式に出席するなんてイヤだけど。地元の友達みんなが集まるし、私だけ欠席したら気を使わせるだけだから」
「へえ。俺だったら、昔の恋人を結婚式に呼ぶなんて考えられないけど」
「普通なら、そうなんですけど……」

悠生の低い声と不機嫌な顔に、芹花は混乱する。
結婚式の話が出た途端、悠生の態度が変わった。
いったいどういう事だろう。
ほんの少し前までおいしい料理に舌鼓を打ち和やかに話していたのに。





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