極上御曹司に求愛されています

「あ、綾子から。こんな夜遅くまで起きていたんだ」

家に帰ってすぐ、芹花は綾子にメッセージを送った。悠生との食事の最中に聞いた母親の言葉が気になっていたのだ。
芹花の元恋人修と地元の友達の礼美の披露宴の受付の件だが、同級生も多く出席するはずなのに、どうして決まらないのかわからない。
綾子から届いたメッセージには、今電話をしてもいいかと書いてある。
急いでいるのかと首をかしげた芹花は、まだ慣れないスマホをゆっくりと操作し、綾子に電話をかけた。
スマホを近くに置いていたのか、綾子はすぐに電話に出た。

『芹花? 夜遅くにごめんね。起きてた?』
「うん、起きてたよ、大丈夫。それより、母さんに聞いたけど礼美の結婚式の受付が決まらないの?」
『そうなの。同級生みんなに声をかけたんだけどね、なかなか決まらなくて』

スマホ越しにため息が聞こえ、芹花は眉を寄せた。

「どうして? かなりの人数が呼ばれてるんでしょう? 誰も引き受けてくれないの?」
『そう、決まらないのよ、もう、面倒くさい』

綾子はずっと我慢していたかのように、大声で叫んだ。
サバサバとした性格で、普段から何でもはっきりと口にする性格だとはいえ、芹花は驚いた。
気が強いと言われながらも面倒見がいい綾子の投げやりな口調。
よっぽどのことがあったのかと芹花は戸惑う。

「そんなに困ってるの? 綾子、披露宴でスピーチも頼まれてるんでしょう? それに二次会の幹事もするって聞いたけど」
『頼まれたっていうか、礼美に押しつけられたのよ。私以外誰も引き受けないってわかってるし。ちなみに受付は新郎側と新婦側から二人ずつ立つことになっててね。仕方ないから私がするけど、もう一人必要なのよ』


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