ダメ女
堕天使
それから、○○の気持ちはどんどん僕から離れていった。

職場でも、○○が話しているのを聞いているのが苦痛になった。

弟の話を○○がしてて

「弟が良くご飯奢ってくれるんですよ。」
 
という話をしていて何気なく冗談で俺も連れて行ってよと言うと

「何であんたなんか。」

僕は、心が凍った。

ロッカーで泣いた。

メールも電話もしなくなった。

僕は、友達に逃げた。

花火をしたりして気持ちのぐらつきのバランスを取ろうとしていた。

でも、いつも○○の事を忘れられなかった。

後は、他の女に逃げた。

SNSで知り合った女と会って酒を飲んでセックスした。

僕は、狂っていた。

仕事も休みがちになって祖母の古い風邪薬を大量に飲んだ。

自分の体が動かせなくなった。 

骨だけの人間になったような幻覚。

涙、よだれ、鼻水が出ても体が動かなくてただ目を閉じる事が出来るくらいだった。

あぁ…死ぬのか…と感じて深い眠りについた。

目が覚めると、死ねなかった自分に情けなさを感じた。

職場では、ダメ人間だった。

もう働きたくなかった。

軽いパワハラも受けていた。

夜に友達と花火をしていると急に○○と話したくなった。

花火大会、七夕祭り、プール全て一緒に行けなかった。

もう…彼氏彼女の関係じゃない。

○○を、憎悪しながらまだ未練があった。

誰もいない実家のリビングルームで○○に電話した。

【久しぶりの電話だね。楽しい話しようよ。】

○○のテンションに頭がバカなのかと思ってしまった。

自分で全てを拒否しているのに…。

【ふざけんな!全部拒否してるのは自分だろ!】

【怒らないでよ。久しぶりの電話なんだから。】

殺してやりたいと感じた。

【誰かさんは、ずいぶん余裕だね。花火大会、七夕祭りをドタキャンしといて。】

【分かったよ。今から会おうよ。】

○○の家から近いコンビニで待ち合わせた。

付き合う前に付き合っていた男に殴られたと聞いていたけれど、誰でも殴りたくなると今は同情じゃなくハッキリ分かる。

ラフな格好で○○はニヤニヤしながらコンビニに来た。

僕は、○○に文句をだらだらと言った。

○○は、分かった直すからと言ってコンビニでビールを買ってニヤニヤしながら帰った。

人の心を弄ぶ堕天使だと思った。
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