『The story of……』
「綺麗だけど……寂しそうな色だね」
「じゃあ……温めてよ」
寂しげに揺れる瞳に伸ばしていた手がぎゅっと握られ、代わりに背伸びをして唇を寄せた。
瞼に寄せた唇を離すと、寂しげな灰色にほんのりと温もりが宿ったように、わたしを見つめる瞳に熱がこもってる。
「まだまだ、足りないよ……」
月明かりが作り出すシルエットが重なるより早く、触れ合った唇の温もりは、どうか永遠に彼を温め続けられますように……。
「……じゃあ、ずっと温めてあげる。……これからの時間全部懸けて、ずっと」
彼が二度と寂しさに飲み込まれて自分を見失なわないように……。
-凌亥編ED-
