5人の王子とお姫様!
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「じゃ、いってらっしゃい♪」
ご機嫌なお母さんが玄関でお見送り。
「いってきます」
軽く手を上げてそれに返す。
あと、顔を合わせておきたい人物がもう一人……
と、階段から降りてきた小さな影。
「姉さん…」
不安げに瞳を揺らすのは、2歳年下の可愛い、可愛い私の弟。
出発前にちゃんと顔を見れて良かった…。
「大丈夫だよ、……昴(すばる)」
安心させるように小さく微笑むと、昴は顔を歪めた。
心配でもしてくれているのか。
何を心配しているのか。
なんて、聞かなくても分かるけど。
「でも、姉さん…」
「高校は、大丈夫だから。この1ヶ月、何もなかったでしょ?」
「……うん…」
納得いかないように頷く昴の頬に手を触れる。