5人の王子とお姫様!



最後のほうはもう、何を言われてるのか分からなかった。


それだけ言われてることが優しくて。


颯太の言葉が、本当に優しくて、温かくて。



じんわり、スポンジに水が染み込むかのように心が溶かされていく。


視界が滲んで、颯太の顔が歪んでいく。



「ほんと…?」


「ああ」


「罵声、浴びせても、本当に怒らない…?」


「ふはっ、そっちかよ」


今度こそ耐えきれないように顔を背けて笑う楓斗に、自然と私の口角も上がっていく。


目を細めると、その拍子に涙が頬を伝い落ちていった。



海で昴に言われたことを思い出す。


『一人で、全部抱え込まないでくれたら、もっと……嬉しい、かも…しれない…』


そうだ、昴に言われてたのに私は流すだけだった。


あの時、昴が本音を言ってくれたことが嬉しくて頭にも入っていなかった。


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