5人の王子とお姫様!
「天音…大丈夫…?」
手紙を集めては束にして重ねて。
黙々と拾っていると、上靴に履き替えた空が近付いてきた。
手紙の束を集めてくれる空はどこか不安げ。
「うん、大丈夫。ありがとう」
手伝ってくれた空から手紙を受け取って、立ち上がる。
下駄箱の中の手紙もひっくるめて鞄に仕舞うと、上靴に履き替えて教室に向かった。
まだ誰もいない、ガランとした教室。
空は席に付くや否や、机に突っ伏して眠りこけた。
それを盗み見て、そっと鞄から手紙を出す。
封を切って、一枚一枚読んでみることにした。
『夏休みに入ったね。君と遊びたいな……なんてね』
『もう長いこと会ってない。君は今何してるの?』
『あの男たちとどこに行ったの?僕にも教えてよ』
『ねぇ、会いたい』
『もっともっと、君に近づきたい』
『帰ってきたんだね。嬉しいよ、また君を見られて』
『話しかける勇気があれば……』
『いっそ君を閉じ込めてしまえたらいいのに』
『君と話したい』
『会いたい、会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい………――』