触れられないけど、いいですか?
翔君の力強い言葉と瞳は、どこまでも真剣に、そして深く、私に届く。
だけど……そんなことがあったなんて、私……
「……とまあ、あの時のことを結構詳しく話した訳だけど、何か思い出せない?」
「……うん。あのパーティーの日、男の人と会話をし過ぎてその晩に高熱出して寝込んだことは思い出した……。そして、目を覚ましたら誰と何を話したかは忘れてた……」
「ね、熱?」
私のその発言には、いつも落ち着いている翔君も流石に少し驚いていた。
「……ごめんね、思い出せなくて」
「ううん。それよりも、さくらの疑問にちゃんと応えられていたら嬉しいけど、どうかな?」
「え……」
私の疑問。彼が、何故私を好きになってくれたかということ。
「……うん、伝わったよ」
「良かった。あれからずっと、また会いたいと思ってた。
だけど、あの頃の俺は自分のことばかりを考えてしまっていて、さくらに想いを伝えられるような大人じゃなかった。
もっと成長して、もっと胸を張れるようになったら。そうしたら、もう一度君に会いに行こうと決めていた。
そしてその準備が出来た、数ヶ月前ーー俺の父とさくらのお父さんが、俺達のお見合いの話を計画していることを聞いたんだ」
「そうだったの……」
「こんなの、運命としか思えなかった。会いに行こうとしていた人を、お見合い相手として迎えることになるなんて。
正直、父はあのお見合いをするかどうか、悩んでもいたんだ。父は俺と優香を結婚させようか考えていたことがあったからね……。
だけど、俺がさくらとどうしてもお見合いしたいと言ったんだ。父は元々優しい人だから、俺の意見を尊重してくれた。そして、あのお見合いが行われたんだ」