触れられないけど、いいですか?
その後、仕事を終えていつも通り帰宅すると、何やら重苦しい表情をした母がパタパタと玄関にやって来た。
何か良くないことが起こっているというのは一瞬で分かった。でも、何が起こっているというのだろう。
「さくら、帰ってきて早々で悪いんだけど、ちょっとリビングに来てもらえる?」
母にそう言われ、私は上着を脱ぎ、リビングに向かおうとする。
「何かの間違いだから、気にしなくていいのよ」
廊下を歩く途中で、母に後ろからそう言われたけれど、何のことかさっぱり分からなくて返事が出来なかった。
リビングに行くと、父は誰かと電話していた。
電話の相手は分からないけれど、父の表情や声色から、やはり良くない内容であることが伺える。
私がソファに座るとほぼ同時に、父は「じゃあまた連絡する」というようなことを言って、電話を切る。
通話を終えた父は、神妙な面持ちで私の正面のソファに腰をおろす。
「電話の相手、誰?」
きっと、私に関係していることなのだろう。だけど、心当たりが全然ない。
すると父は、重たそうに口を開いた。
「電話の相手は、あちらのお父さんだよ」
「あちらって……翔君のお父さん?」
私の問いに、父は「うん」とだけ答える。
「翔君のお父さんが、何の用事で?」
すると父はゆっくりと言葉を発す。
「さくらと翔君の結婚の話を、白紙に戻してほしいという内容だった」
何か良くないことが起こっているというのは一瞬で分かった。でも、何が起こっているというのだろう。
「さくら、帰ってきて早々で悪いんだけど、ちょっとリビングに来てもらえる?」
母にそう言われ、私は上着を脱ぎ、リビングに向かおうとする。
「何かの間違いだから、気にしなくていいのよ」
廊下を歩く途中で、母に後ろからそう言われたけれど、何のことかさっぱり分からなくて返事が出来なかった。
リビングに行くと、父は誰かと電話していた。
電話の相手は分からないけれど、父の表情や声色から、やはり良くない内容であることが伺える。
私がソファに座るとほぼ同時に、父は「じゃあまた連絡する」というようなことを言って、電話を切る。
通話を終えた父は、神妙な面持ちで私の正面のソファに腰をおろす。
「電話の相手、誰?」
きっと、私に関係していることなのだろう。だけど、心当たりが全然ない。
すると父は、重たそうに口を開いた。
「電話の相手は、あちらのお父さんだよ」
「あちらって……翔君のお父さん?」
私の問いに、父は「うん」とだけ答える。
「翔君のお父さんが、何の用事で?」
すると父はゆっくりと言葉を発す。
「さくらと翔君の結婚の話を、白紙に戻してほしいという内容だった」