触れられないけど、いいですか?
「……え?」
何? 今、何て言ったの?
私と翔君の婚約をなかったことに……ってこと?
どうして突然、そんな話に?
「……理由は? 私、何かしてしまった?」
「さくら、その前に一つ教えてくれ」
「何?」
「……
男性恐怖症で、男性に触れることに恐怖を感じるというのは本当かい?」
「っ⁉︎」
心臓がバクンと跳ね上がるのを感じた。
何で、それを父が知ってるの?
それを知っているのは私自身と翔君だけのはずーー
いや、もう一人いる。
……優香さんが、バラしたんだ。
私と翔君の結婚を邪魔するっていうのは、こういうことだったんだ。