触れられないけど、いいですか?
ーー
「怒ってる?」
目の前に座る彼は、私にそう尋ねながらもユルく笑っている。こんな時まで余裕たっぷりなことには少し腹が立つけれど。
「……いえ。お陰で避けて通れない問題に直面出来ましたし、怒ってはいません」
と。オフィスビルの一階のカフェの二人席で、正面に座る霜月さんに私はそう言った。
翔君のお義父様に結婚を認めていただいてから二週間。
結婚の準備は着々と進み、両家関係も良好だ。
でも、霜月さんともきちんと話し合いをするべきだと思い、私は定時後に彼の働く総務部へと赴き、こうして時間を取ってもらっている。