触れられないけど、いいですか?
「でも、それは勘違いだったみたいだから」

「え?」

「〝ただの政略結婚〟ではないようだね」


その言葉については、気恥ずかしくて上手く返事は出来なかったけれど、



「結婚は、好きな人とするのが一番だよ。いや、政略結婚を提案した僕が言うのもおかしいけれど」

「そんな……」

「好きな人となら、傷付くことかあっても乗り越えられるんじゃないかな。これ以上は、僕から言うことは何もないよ」


そう言ってお義父様は、今まで向けてくれた表情の中で一番優しく笑ってくれた。
< 166 / 206 >

この作品をシェア

pagetop