触れられないけど、いいですか?
「あーあ。そんな態度取られたら、こっちもちゃんと言わなきゃいけなくなるじゃん」

観念したかのような様子でそう言うと、霜月さんは少し猫背気味だった姿勢を正し、真っ直ぐに私を見る。そして……


「汚い手を使って、申し訳なかった。そして……



結婚、おめでとうございます」



そう言って笑ってくれた彼の表情は、見たことのない切ない笑顔。


だけど、



「ありがとうございます」


彼からの祝福の言葉は、とても嬉しかった。
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