触れられないけど、いいですか?
それから翌週の日曜日、久し振りに翔君との予定が合い、家まで車で迎えに来てもらった。
いつもの様に助手席に乗り込み、シートベルトを着用する。
と、翔君が無言でじーっとこちらを見つめていることに気付いた。
「翔君?」
「あ、ごめん」
へへ、とどこか照れたような笑顔を見せる翔君。
その表情はとても可愛いのだけれど、どうしたのだろうと私は首を傾げる。
「今日の髪型と服装、可愛いなって。いや、いつも可愛いけど、特にね」
「えっ」
思わず顔が赤く染まるのが自分でも分かった。
いつもはそのままおろしていることが多いロングヘアは、今日はローシニヨン。服も、普段は落ち着いた雰囲気のものしか着ないけれど、今日は私にしては珍しくアイボリーのチュールスカートをはき、柔らかい雰囲気にしてみた。
翔君に会うの久し振りだから、髪も服もいつもより気合を入れてしまった。
「変、かな?」
「え? 可愛いって言ったじゃん」
「そ、そっか。うん」
「仮に変な格好してたとしても、それが俺を想ってしてくれた格好なら、俺にとっては最高に可愛いけどね」
「も、もう」
さすがに今のは冗談めかして言ってくれたけれど、翔君なら本当にそう感じてくれそう……なんて思ってしまった。